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2024年5月8日
【バイリンガル教育に重要な概念】BICSとCALPについて知っておこう!
バイリンガル教育にあたり、第一言語を確立することは重要ですが、では人はどのように第二言語を習得するのでしょうか。
言語習得の分野でBICSとCALPがあり2つがあり重要な概念です。BICSとCALPは相互作用しているので、BICSを獲得してもCALPが未熟だとバイリンガルに近づけません。
では、BICSとCALPとはいったい何でしょうか。
BICSとCALPとはなに?
BICSはBasic Interpersonal Communication Skills(生活言語能力)の略であり、主に日常的な会話や社会的なコミュニケーションで使用される言語能力を言います。これに対して、CALPはCognitive Academic Language Proficiency(学習言語能力)の略であり、学術的な文脈や専門的な分野での言語能力を指します。
BICS(生活言語能力)は比較的容易に獲得され、言語を使っての日常的な対話や簡単なコミュニケーションに必要なスキルです。たとえば、友人との会話やプレゼンテーションを理解し、適切に反応することが含まれます。
一方で、CALP(学習言語能力)はより高度な言語スキルであり、学校や仕事での複雑な認知的な活動や専門知識の理解に必要です。例えば、学術論文の読解や書き出し、科学や数学の理論を理解するために必要なスキルです。
言語学習者は、まずBICS(生活言語能力)を獲得し、その後CALP(学習言語能力)を発展させていく傾向があります。ただし、BICSとCALPは独立して習得されるわけではなく、相互に影響し合って発展していきます。
BICSをもっと詳しく解説
BICS
Basic Interpersonal
Communication Skills
生活言語能力
BICS(Basic Interpersonal Communication Skills)は、生活言語能力を指します。これは、日常生活でのコミュニケーションに必要な言語スキルのことです。BICSは、言語学習者が直面する最初の段階で発達し、比較的短期間で獲得されます。
BICS(生活言語能力)の主な特徴や要素について詳しく説明します。
- 口頭コミュニケーション能力
- 日常生活での使用
- 短期間での獲得
- 非言語的な要素も含む
BICSでは、口頭でのコミュニケーション能力が重視されます。人と話すこと、会話を理解し、適切な反応を返すことが含まれます。これには、会話の内容を理解し、適切な文脈で適切な表現を使用することも含まれます。
BICSは、日常生活でのコミュニケーションに関連しています。これは、友人や家族との会話、学校での教室でのコミュニケーション、および日常的な活動やイベントでの会話など、日常的な状況での言語使用を指します。
BICSは比較的短期間で獲得される傾向があります。言語学習者は、新しい言語環境に適応するために、BICSを比較的速く獲得することができます。これは、言語の基本的な理解や表現が直接的であり、文脈に密接に関連しているためです。
BICSは、言葉だけでなく、非言語的な要素も含みます。ジェスチャーや表情、身振り手振りなどの非言語的なコミュニケーションもBICSの一部であり、言葉と組み合わせて意思疎通を図るために重要です。
BICS(生活言語能力)は日常生活での基本的なコミュニケーション能力を形成します。
BICS(生活言語能力)の発達
言語が発達段階にある場合、BICS(生活言語能力)を日常生活の中で自然に発達させます。具体的には、以下のようなスキルが発達していきます。
- 会話能力の向上
- 言語理解の深化
- 非言語コミュニケーションの発達
- 文化的な理解
日常的な会話や遊びの中で、友人や家族とのコミュニケーションを通じて会話能力が向上します。友達との会話や教室でのグループ活動など、さまざまな状況で言葉を使って意思疎通を図ることが重要です。
日常生活での経験を通じて、言語の意味や使い方について深く理解を深めます。例えば、テレビ番組や本を通じて新しい言葉や表現を学ぶことで、言語理解が豊かになります。
言葉だけでなく、ジェスチャーや表情、身振り手振りなどの非言語コミュニケーションも重要です。これらの手段を通じて感情や意図を伝えることができるようになります。
日本語を話す小学生は、日本の文化や社会の中で成長します。そのため、言語能力だけでなく、文化的な知識やルールも理解し、それに応じて行動することが求められます。
BICS(生活言語能力)の成長には個人差がありますが、一般的に言語学習者が基本的な対人コミュニケーション能力を獲得するまでの期間は比較的短いです。具体的な期間は以下のような要因によって異なります。
- 言語環境の影響
- 年齢
- 個人の能力や動機
- 学習環境
言語学習者が日常的にその言語を使う環境に身を置いているかどうかは、BICSの獲得に大きな影響を与えます。言語を日常生活で使用する機会が豊富であれば、BICSを比較的迅速に発達させることができます。
年齢もBICSの成長に影響を与えます。一般的に、若い言語学習者の方が比較的早く言語を獲得しやすい傾向があります。子供の場合、遊びや学校での友人との交流を通じてBICSを自然に発達させることが一般的です。
言語学習者の個人差もBICSの成長期間に影響を与えます。言語学習への動機や学習能力、そして自己学習の努力などが、BICSの成長の速度を左右します。
学校や家庭での言語教育の質や方法、教師や家族のサポートなど、学習環境もBICSの成長に影響を与えます。適切なサポートがあれば、言語学習者はより迅速にBICSを発達させることができます。
CALP
Cognitive Academic Language
Proficiency
学習言語能力
CALP(Cognitive Academic Language Proficiency)は、学習言語能力を指します。これは、学校や専門的な環境で必要とされる高度な言語スキルであり、複雑な認知的タスクや学術的な活動を遂行するために必要です。以下に、CALPの詳細を説明します。
- 学術的な文書の理解
- 学術的な書き手としての能力
- 複雑なコミュニケーション能力
- 文化的な背景と結びついた能力
CALPを持つ人は、学術的な文書や教科書を理解する能力があります。これには、専門用語や複雑な概念を理解し、文章の論理構造を解析する能力が含まれます。CALPを持つ人は、高度な学術的な知識を獲得するために必要な読解力を持っています。
CALPを持つ人は、学術的な文書を書く能力も備えています。これは、論文やレポートを適切な文体で書き、論理的な議論を展開する能力を指します。また、専門用語や技術用語を正確に使用し、読者に情報を効果的に伝える能力も含まれます。
CALPを持つ人は、複雑なコミュニケーションタスクにも対応できます。これには、ディベートや学術的な議論に参加する能力、そして他の人の意見や主張を分析し、適切に反論する能力が含まれます。
CALPは、言語のみならず、文化的な背景や社会的なコンテクストとも密接に関連しています。CALPを持つ人は、文化的な差異や社会的な問題についても高度な議論を展開する能力を持っています。
これは、高度な認知的な活動や学術的なタスクを遂行するために必要な言語スキルを指し、学術的な成功に不可欠な要素です。
CALP(学習言語能力)は、言語学習者が学校教育や専門的な環境で成功するために重要な能力です。
CALP(学習言語能力)の発達
第二言語話者が獲得するCALP(学習言語能力)については、いくつかの重要な点があります。
- 学術的な文書の理解と作成能力
- 専門用語や複雑な概念の理解
- 学術的な議論やコミュニケーション能力
- 学問的な成功への寄与
第二言語話者は、学術的な文書や教科書を読解し、理解する能力を発達させます。また、自身の学術的なアイデアや知識を表現するために、論文やレポートを適切に作成する能力も獲得します。
CALPを持つ第二言語話者は、専門的な用語や複雑な概念を理解し、適切に使用する能力を発達させます。これは、学問領域や専門分野ごとに異なる言語のニュアンスや要素を理解することを含みます。
CALPを持つ第二言語話者は、学術的な議論やディベートに参加し、高度なコミュニケーションスキルを発達させます。これには、他の学生や教員との議論や意見交換、研究グループでの活動などが含まれます。
CALPを持つことは、学問的な成功に不可欠な要素です。第二言語話者が学術的な文書を理解し、作成する能力は、学校教育や大学での研究活動において重要な役割を果たします。
第二言語話者がCALP(学習言語能力)を発達させる過程は、時間と経験を要します。
多くの場合、CALPの発達は言語の習得段階の後半に現れ、特に学術的な環境での言語使用が増えたときに顕著になります。また、学校教育や専門的な研究活動など、言語使用の機会が豊富な環境において、CALPがより迅速に発達することが期待されます。
CALP(学習言語能力)の成長には個人差があり、その期間はさまざまな要因に影響されます。具体的な期間を指定することは難しいですが、以下の要因が影響を与えます。
- 言語の習得段階
- 学習環境
- 個人の学習スタイルや動機
- 言語学習の前提条件
第二言語話者の場合、CALPの発達は通常、言語の初期段階であるBICS(生活言語能力)の発達よりも後に現れます。言語学習者が基本的なコミュニケーションスキルを獲得した後、学術的な言語能力がより深化していきます。この過程には、数年またはそれ以上の時間がかかる場合があります。
学校教育や専門的な研究活動など、学術的な言語使用の機会が豊富な環境において、CALPの発達が促進されます。このような環境での学習が行われる場合、CALPの成長は比較的早く進む可能性があります。
学習者の学習スタイルや動機も、CALPの成長に影響を与えます。熱意を持って学習に取り組み、積極的に学術的な言語能力を向上させようとする学習者は、より早くCALPを発達させる傾向があります。
学習者が母語話者としての豊富な言語経験を持っているかどうか、またそれまでの言語学習の経験など、言語学習の前提条件もCALPの発達に影響します。既に他の言語を習得している場合、新たな言語での学術的な言語能力を獲得するプロセスは異なる可能性があります。
これらの要因に加えて、個人の状況や環境によってもCALP(学習言語能力)の発達期間は異なります。一般的には数年から数十年にわたるプロセスとされていますが、この期間は個人によって異なることを理解しておくことが重要です。
BISCとCALPのまとめ
言語習得や認知能力の発達は、個々の学習者や状況によって異なります。
一般的な傾向としては、BISC(生活言語能力)の発達は比較的早い段階で始まり、初期の言語環境への適応とともに急速に向上します。これに対して、CALP(学習言語能力)の発達はより時間がかかる傾向があり、学術的な言語スキルや認知的な挑戦に対する対応が必要です。
また、個々の学習者の成長にはさまざまな要因が関与します。これには、言語環境、教育水準、個々の興味やモチベーション、認知スタイルなどが含まれます。
バイリンガル教育に携わる親御さんはこのBICSとCALPを理解し、子供に環境を与えてあげることが必要となります。